就活時期”繰り下げ”は失敗と語られるだろう

時期、繰り下げて大丈夫なの?

内定時期が4月→8月に

2016年度の就職活動の時期が”繰り下げ”られる。

今年まではエントリー(採用広報活動)解禁時期は大学3回生の12月1日にあたるタイミング(そのもう少し前は10月1日からだった)なのだが次年度は解禁日を3月1日にするという。

それに伴い内々定を出す時期もこれまで大学4回生の4月1日だったのが8月1日に変更される。

 

この流れは4月から6月頃まで面接等が集中することで学業に影響があるとする大学側の意向や帰国後に就職活動を控えた留学生からの要望からできたものであり、それを大企業などが後押しする形でオフィシャルに固まった施策である。

これにより今までの問題はクリアされるというもっぱらの主張だが、果たしてそうだろうか?

 

 

説明会は3月に集中

採用広報活動が3月からになるということだがこれによる明らかな問題点は説明会が3月に集中することだ。

今までは12月にスタートして、説明会が集中して行われるのが春休みにあたる1月〜3月。

3ヶ月ほどの期間が説明会用に取られていたのだが2016年度は説明会の期間が3月〜7月ということでほとんどが春学期の授業が始まった時期である。

そのため必然的に3月に集中してしまい、大手や有名企業などは問題ないにせよ中小企業などは母集団確保に相当苦慮することだろう。学生にとっては企業研究の機会も時間も限られてしまう。

それに春学期中にも説明会は行われるだろうし、それにより授業に出られない学生も出てくるはずだ。

 

採用から漏れた学生を救えるか

景気が少し上向き、採用熱が各社で上がっているとは言えすべての学生に内定が出るとは限らない。

内定というのはみんなに満遍なく与えられるものではなく、特定の”できる学生”に集中するものでそれ以外には1つの内定を取るのにも苦労する人は五万といる。

そんな大勢の人たちにとっての受け皿として夏以降の採用はとても重要なのだけど、採用活動時期の繰り下げによりこの受け皿に当たる時期すらもないことになるのだ。

春に内定がでないことがきっかけで自分を見つめ直し、人として成長した結果、夏以降に内定を取る学生もいる訳でこの期間がないことは多くの学生にとって酷な状況ではないか。

 

”失敗”と呼ばれないやり方で進めてほしい

一時の政策はあとから失敗と呼ばれる事がある。

これまでも例えばゆとり教育が政策として持ち上がったことで学習要領が変わったけどいつの間にか「失敗」と言われる始末。

そのせいで1980年代後半生まれの僕たちは”ゆとり”と揶揄されたりするし(厳密にはゆとり世代ではないのだが…)、不利益でしかないのに責任の所在はうやむやだ。

 

上流にいる人が決めたことの失敗の皺寄せは全部末端の人間にくるのだ。

その事実さえ織り込み済みで政策が決定されることこそ問題だ。