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リーマンショック世代の思わず抱きしめたくなるブログ

元バンドマン 文系 27歳 転職3回 どうにもならないなりにやってみる日々

最終回!営業はなくならんのです スーパー営業マン・Mさんから学んだ”価値ある営業”

営業 働く

コーハマです。

 

前回(↓)のつづき

営業はなくならんのです 東京育ち大阪弁のスーパー営業マンの話

続!営業はなくならんのです 東京育ち大阪弁のスーパー営業マンの話 ”企業研究は5時間せよ” 

 

初の転職、”企業研究”の甘さにボロクソにやられてしまった僕。

スーパー営業マン・Mさんのアドバイスで受ける各社5時間研究することに。

 そして、いよいよ面接当日。

 

プロの凄み

面接当日、直前対策のため午前中に一度面談しようとMさんに言われ、Mさんの待つ事務所に向かった。

ちなみに面接は1日に4社回るというかなりの過密スケジュール。

Mさんがブッキングしてくれた訳だが、今思い返せば4社を繋ぐ動線は移動効率が考慮された無駄がないルートだった。

 

午前9時前。

また例の6畳ほどの部屋で待つ。

緊張感は以前のものとは違っていた。

面接ももちろんだが、何よりMさんに対する緊張…胃を悪くしそうな時間だ。

 

当日までの3日間は、Mさんに言われた通り1社につき5時間以上の企業研究をした。

寸暇を惜しんでとはまさにこのことで、朝に夜に仕事の合間にとすべての時間を費やしての企業研究。

考えうる限りのイメージを膨らませて仕事をシミュレートする。

おかげで商品の導入事例なんかも頭に入った。

ここまでやってダメならマズいよな、と一抹の不安を抱えながら椅子に座ってじっとしていた。

 

そして、待つこと10分。

勢いのある足音が奥から聞こえてきた。

ドアの手前で止まるなり、コンコン!と子気味良くドアが鳴る。

 

 M「おはよーございます!昨日は寝れましたかぁ?寝れてないでしょねー」

 

今日は明るいMさん。

電話の時とは打って変わってこの日はとても穏やかな表情だ。

さっそく直前対策が始まる。

その日のスケジュールをおさらいして各社の志望動機もさらっと聞かれ、足りないところの手直しをしてもらう。

 

その後、続けるMさん

 

 M「そんでね、今日1社目に受けるF社ね。面接官は筑波大付属から早稲田いって元々Y社におった人でクレバーやけど割と熱〜いこと言う人が好きなんですよ。で、I社の面接官は女性で同志社からR社に入って営業やってんやけど現職から人事になった人で〜」

 僕「え?Mさん、面接官の学歴とか職歴とかまで知ってるんですか?」

 M「もちろん。大切な情報なんで頭に全部入ってますよ。面接対策しても面接官のキャラクターが予想と違ったらテンパるでしょ?」

 

確かにそうだ。

いざ面接、と扉を開けたら思ったより強面の人だったり仏頂面の早口だったりで言いたいことが言えなかった経験は誰しもあるはず。

対策という意味ではとっても効果的だと思う。

 

 

面談をした後、Mさんはアポイントがあるので出掛けると言う。

それで僕と向かう方向がたまたま一緒だったため途中まで同行してくれるという。

なかなかパワフルでちょっと怖かったMさんなのだが、話せば話すほどたくさんの発見がある。

面接目前で余裕なんかなかったが、Mさんの人がもう少し知りたくて僕は彼と一緒に電車に乗って移動を共にすることにした。

 

そして、事務所を出る時、一言言われた。

 M「あと、自信の無い話題の時はやっぱり語尾が上がるから、その癖やめましょね。気持ち悪いから。」

 

ストレートな意見も前より素直に聞けるようになった。

 

完璧な大阪弁に隠された秘密

僕には一つ気になることがあった。

Mさんの出身である。

客先の人事担当の学歴や職歴が営業にとって必要な情報だと言うなら、出身地の話をするのは営業マンとして一歩Mさんに近づけるのではないか。

それにMさんは濃い口の大阪弁なので、恐らく関西の出身だ。

関西出身の僕からすれば話題が増えて助かる。

 

 僕「Mさんは関西出身ですよね?こっちに東京に出て来られても大阪弁なんですね。僕も生まれが関西なんですけどMさんはどちらだったんですか?」

 M「僕、東京出身ですけど」

 僕「え!?東京!?」

 M「うん、東京。」

 僕「子供の頃だけ関西に住んでたとか?」

 M「いやぁ?関西で住んだことないですよ。」

 僕「え?じゃあなんで大阪弁なんですか?」

 M「”あぶり出し”ですよ。初めての客先とかで僕が大阪弁喋ってたら『関西のひとですか?』って聞かれんです。そしたら、出身地の話とか学校の話に持っていけるでしょ?大阪発祥の会社なんかでは効くんですよね。まぁどこでも関西出身の人は多いし、これ使えますよ。」

 

 

信じられない。

もはやマンガの世界の人だった。

ますます謎が深まっていくMさん。

 

 

それから大阪での営業エピソードを語りつつ、自分が若かった時のことなんかも少し聞かせてくれた。

そして、新卒から数年して営業を極めるため今の会社に転職してきたのだという。

それで、そもそもなんで営業の仕事をしているのか、聞いてみたくて質問した。

 

 僕「Mさんはなんで営業をしているんですか?」

 M「だって、面白いじゃないですか。いろんな会社に行っていろんな人に会って。僕はお客さんに教えてもらって鍛えられて大人になった口ですから。それに営業はその人に魅力があれば転職しても高く売れますしね。お客さんのこと、とことん考えてたら行動も変わるんですよ。」

 

ここで僕は最初の面談の時のことを思い出した。

僕が学生時代に受けた会社の話。

「パンフレット置いてくるだけでしょ」という突き放すような言い方は僕のケツを叩くための言い回しだったかもしれないのだが、確かに売る商品自体に魅力があったり会社のネームバリューがあれば誰がやってもモノは売れる。

そのことをMさんは「面白くない」と捉えていた。

Mさんは若い頃から後ろ盾のない中で自分という商品を武器にやってきたのだ。

そして、どうすればお客の要求に応えられるか、期待を飛び越えられるかを常に考え続けているうちに行動の端々に”工夫”がなされていったのだ。

 

売れる理由が、商品ではなく営業マンの魅力に集約されることこそ価値のある姿だとMさんは考えていた。

 

それから、続けてMさんは営業の面白みを語ってくれた。

 

 M「僕が社会人になってからもインターネットやら何やらいろいろ出てきましたけど、やっぱり動かしてるのは人なんですよね。人がやってる以上、相手の求めることを考え抜いて提案する。そっからビジネスは生まれるです。それが営業マンの仕事でね、機械にはでけへんのですよ。だからね、営業はなくならんのです。」

 

Mさんが言っているのは精神論ではなく、真理に基づいたポリシーだった。

短い時間だったが仕事、そして営業の深みを教えてもらえた。

これが僕の”かっこいいビジネスマン”との出会いの原体験だった。

 

港区のとある駅で下車するというMさん 

 M「じゃあ、ガンバってくださいー!」

 

まっすぐな姿勢のままいつものように早足で電車を降りていった。

Mさんと会ったのは、思えばこれが最後だった。

 

その後、僕はとある会社の面接でひょうんなことからその場で内定が出た。

それから諸々の報告や手続きなどでMさんに連絡することはあったものの直接お会いすることはなかった。

不義理をしてしまっているなぁ、と思う。

 

 

そうして1ヶ月後、Mさんから紹介された会社に入社することになった。

入社当日の朝、Mさんからメールが届いていた。

 

「がんばってください。愛されてください。」

と書いてあった。

 

営業は、とかく敬遠されがちな職種であったりするが、Mさんのプロフェッショナルな姿を見せられてイメージそのものが変わったし、影響すら受けたと感じる。

今でも何かのタイミングでMさんからの指摘やアドバイスを思い出し、気持ちを奮い立たせることがある。

 

素晴らしい営業マンは記憶に残るのだ。